スキー、スノーボードのホットワックスで必ず必要になってくるアイロンですが、色々な種類があったり、値段もピンからキリまであるので、どんな物を選べばよいか分かりづらいですよね。
筆者は以前、スノーボードショップでゴーグルやグローブなどのアクセサリー担当として働いていた経歴があるのですが、ワックス関係のメンテナンス用品も担当の1つでした。
その時にメンテナンスの事について多かった質問の1つがアイロンの事です。
これからホットワックスを始めようと思っている方は特に分かりづらいと思いますし、中には「家庭用のアイロンではダメ?」と思われる方もいると思います。
そこで、そんな経歴を持つ筆者が、スキー、スノーボードに使うおすすめのアイロンや、家庭用のアイロンとの違いや選び方などをご紹介していこうと思います。
よかったら参考にしてみてください。
家庭用アイロンとスノーボード用アイロンの違い
スノーボードショップで働いていた時にも良く聞かれた質問の1つが、「スノーボード用と家庭用のアイロンの違い」でした。
洋服にかけるアイロンも熱を出しますし、それでもいいんじゃないか?と思われる方もいると思います。
まず初めにお伝えしておきたいことが、ワックスがけをする時に家庭用の洋服用アイロンはおすすめしません。
その理由を、順を追ってご説明します。
利用目的がまったく違う
洋服用のアイロンも、ワックス専用のアイロンも、同じ「アイロン」という名前なので、つい同じ感じで考えやすくなってしまいますよね。
「アイロン」という名前であっても、この2種類のアイロンは利用目的が変わってきます。
・洋服用 → プレス(押し当てる事)してシワを伸ばす
・ワックス用 → ワックスを溶かして塗る
洋服用は、強く押し当ててシワを伸ばし、洋服をキレイにする為にする物になります。
ワックス用は、ワックスを溶かしてから、強く押し当てずに板にワックスを浸透させる為の物になります。
ワックス用で力強く押し当てながらアイロンをかけてしまいますと、板が焼けてしまい、板の滑りを悪くする原因にもなってしまうのです。
ですので、家庭用のアイロンとワックス用のアイロンは、使用目的が違う物になります。
家庭用のアイロンは温度設定ができない
スノーボードのワックスには、それぞれ設定する温度というのがあります。
「このワックスは、この温度で使用してください」という設定です。
例えば、現在筆者が使用している「ガリウム」というメーカーのワックスにもその設定があります。
【ガリウム ピンク色のベースワックス】
【ガリウム ブルー色のベースワックス】
・ピンク色のワックス → 設定温度 120度以下
・ブルー色のワックス → 設定温度130度以下
このように温度設定が変わってくるのです。
この違いは、ワックスの硬さによって変わってくるので、この温度でワックスを溶かして塗るのがワックスにとっても、板にとっても安全な温度設定になります。
家庭用のアイロンの場合ですと、この温度設定ができるのが、ほぼありません。
ちなみに、筆者は1度も見た事がありません。
家庭用のアイロンの場合、低、中、高、という設定だったり、筆者が持っている洋服用のアイロンの場合は、繊維によってメモリが変わってきます。
ちなみに、これはアイロン使用可能洗濯表示規格(ISO,JIS)に合わせて作られており、「低」で80~120°と言う温度帯になります。
これでは「低」に合わせても温度設定がバラバラですし、むしろ、その温度設定をキープし続けてくれません。
この温度設定できないというのが違いの1つになります。
家庭用のアイロンは熱をキープしづらい
先ほどの続きではありませんが、家庭用のアイロンの場合は設定温度をキープしづらく、熱が上下してワックスが塗りづらくなってしまいます。
例えば、弱に合わせても温度が上下して、途中までは良い感じだけど、温度が下がってきて塗りづらくなる。
または、温度が高くなりすぎる。
このような現象が起きやすいのです。
それと比べてワックス専用のアイロンは、アイロンをかける面が厚く作られていて、熱をキープしやすくなっています。
ですので、設定温度までいけば、その温度をできるだけ保ってくれるのでワックスも塗りやすくなります。
家庭用のアイロンは特殊な加工がされている場合がある
家庭用のアイロンのかける面には、フッ素加工がされていたり、撥水加工がされて、アイロンをかけた時に滑りをよくする加工がされている場合が多いです。
このフッ素加工などがされていると、ワックスを溶かした時や塗る時に、ワックスを弾いてしまいます。
これではワックスをキレイに塗る事はできませんので、ワックス専用のアイロンを使う事をおすすめします。
家庭用のアイロンでもワックスはかけられるか?
洋服用の家庭用アイロンでもワックスをかける事はできるか?
結論はこのような感じです。
塗る事はできるけど、塗りずらかったり、板を傷付けてしまう場合もある。
もちろん、ワックスを溶かす事もできますし、塗る事もできます。
しかし、ワックスは板の滑りを良くする為に塗ったり、板を守る為に塗る物になります。
その板の為にするワックスがけで、板を傷つけてしまったり、フッ素加工でワックスを弾いてしまったら意味がありませんからね。
ですので、洋服用の家庭用アイロンでワックスをかける事はおすすめしません。
値段が高い専用アイロンが良いのか?
販売されているアイロンには、ピンからキリまであり、高い物だと2万円を超える物もあります。
もちろん高ければ性能も良い物になるので、「より精密なメンテナンスをしたい!」という事であれば高額なアイロンを購入することをおすすめします。
例えば以下のような方です。
・スピードを競うような競技に出る方
・トップクラスのワックスがけをしたい方
このような方の場合、1秒を争ったり、極上の滑り心地を求める方だと思いますので、高額なアイロンの購入か、専門業者によるメンテナンスを受ける事をおすすめします。
しかし、すべての方がここまでの物を求めていないと筆者は思っています。
実際に筆者もその1人で、そこまでのワックスがけを求めていません。
・ストレスなく快適に滑りたい
・超スピードでまで行かなくても、ある程度のスピードを出したい
・板の保護をしたい
筆者自身もこのような考えですし、このような考えをしている人も多いと思います。
このような考えの場合でしたら、正直、高額なアイロンは必要ありません。
むしろ、そのようなアイロンを購入しても、持て余してしまいます。
確実に筆者も持て余します。
価格が安いアイロンでも機能性が良くて十分使える物もありますので、無理して高額なアイロンを購入する必要はありません。
ワックスとアイロンは違うメーカーでも平気?
アイロンを選ぶときに、これから使おうと思っているワックスやメーカーや、現在使っているワックスのメーカーとの相性が気にする方もいると思います。
この相性というのは、気にする必要はありません。
例えば、Aというメーカーのアイロンを使って、Bというメーカーのワックスを塗ったとしても、何も問題はありません。
アイロンとワックスには相性というのはありませんので、この事については心配しなくて大丈夫です。
スノーボードのワックスに使うおすすめのアイロン4選
ここからは、スキー、スノーボードで使うおすすめのアイロンをご紹介していきます。
どんなアイロンにしようか悩んでいましたら参考にしてみてください。
GALLIUM(ガリウム)
スキー、スノーボードが好きな方なら知らない人はいない、有名メンテナンス用品メーカーの「ガリウム」。
日本にとどまらず、世界からも注目されている日本のメーカーです。
設定温度も調整する事ができますし、コンパクトで軽い使いやすいアイロンになります。
ちなみに、初めてホットワックスをする方には、アイロンはもちろん、必要な道具やワックスがセットいなっている物がおすすめです。
価格も割安になっているので、これから始める方には使いやすいセットになっています。
マツモトワックス
スキー、スノーボードの有名ワックスメーカーの「マツモトワックス」。
スピード競技のプロスキーヤーや、プロスノーボーダーが多く在籍しているメーカーになります。
ホットワックスを本格的に始めたい方にも使いやすくて、コンパクトなサイズでも800Wの十分なパワーを搭載したアイロンになります。
もちろん温度設定をすることもできます。
SWIX(スウィックス)
老舗ワックスメーカーの「SWIX」。
使いやすいメンテナンス用品を幅広く展開しているメーカーで、アイロンも高額な物から安くて使いやすい物まであります。
アイロンの中でも「T77100J」は温度設定もできる、コンパクトで使いやすくモデルです。
TOKO(トコ)
スキー、スノーボードのメンテナンスメーカーの「TOKO」。
1916年に創業した老舗の専門ブランドで、技術者がビギナー製品からエキスパートの高性能ワックスまで、あらゆるワックスを開発・製造しています。
内臓するサーモスタットにより、設定温度に管理できるこのアイロンは融点が高めの硬いワックスをもスムーズにワクシングする事ができます。
温度設定も100°~160°まで設定することもできます。
最後に
最後までお付き合い頂きありがとうございます。スキー、スノーボードのアイロンは使う頻度は少ないですが、専用の物を使う事でワックスのかけやすさ、板へのダメージも軽減してくれえるので、専用の物でワックスがけをすることをおすすめします。
値段が安い物でもしっかりとワックスをかけることができますし、安心して使うことができます。
スキー、スノーボード専用のアイロンでワックスをかけ、楽しいスキー、スノーボードを満喫してください。
この記事で、スキー、スノーボード専用のアイロンについて、お役に立てればと思います。